室井一辰 医療経済ジャーナリスト

医療経済ジャーナリスト、室井一辰。『絶対に受けたくない無駄な医療』の連載をはじめ、医療経済にまつわる話題をご提供いたします。

前立腺がんの抗がん剤は、「アダプティブな治療」の時代へ

PSA値に従って調整する抗がん剤治療により、治療費を大幅削減できるとする研究が報告されています。

PSA値が、治療前の半減を境に、それを下回るまで、アビラテロンとステロイドによる治療を実施して、逆に、上回ると中断するという治療です。アダプティブな治療、あるいは適応型の治療と呼んでいますが、これは今後注目されてきそうです。

その効果を試験で検証していますが、アダプティブな治療によって、抗がん剤を含めた治療費をほぼ半減近くまで抑えられるという結果になっています。統計学的に有意な差が出ています。しかも、統計学的な差までは出なかったのですものの、抗がん剤の費用を除く費用まで減少する傾向も見られました。

これは医療経済的にも見逃せない治療法と言えそうです。

2021年3月、米国研究。

Mason NT, Burkett JM, Nelson RS, Pow-Sang JM, Gatenby RA, Kubal T, Peabody JW, Letson GD, McLeod HL, Zhang J. Budget Impact of Adaptive Abiraterone Therapy for Castration-Resistant Prostate Cancer. Am Health Drug Benefits. 2021 Mar;14(1):15-20. PMID: 33841621; PMCID: PMC8025923.

室井一辰ニュース

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