室井一辰 医療経済ジャーナリスト

医療経済ジャーナリスト、室井一辰。『絶対に受けたくない無駄な医療』の連載をはじめ、医療経済にまつわる話題をご提供いたします。

韓国の医療改革、そもそもボイコットにつながった改革とは

そもそも韓国が出している方針はどういうものなのか。それを示す文章について改めて確認してみます。

 

2024年2月1日、韓国政府は「生命と地域社会を救うための医療改革」をテーマに、ソウル国立大学分校病院で第8回公開参加型ラウンドテーブルを開催しました。

 

これを見ると、韓国は2035年に約1万5000人の医療専門家の不足が予測される中、政府は医療専門家の数を増やし、地域医療の質を高めることを目指すとのこと。

具体的には、2025年から医学部の定員を拡大し、医学教育と診療訓練の枠組みを改善する計画。

これが、割とよくいわれる、韓国の増員計画の背景といえるのでしょう。

また、研修医の最大連続勤務時間を現行の36時間から削減し、研修医中心の病院運営へと段階的に移行する予定です。

この辺りは日本とも共通している側面がありそうです。

 

その上で、地域医療の充実をうたっています。これも日本と同じ。

 

  • 地域医療を強化するため、政府は国立大学病院および地方の公私立病院を育成し、地域社会が必要とする一連の医療サービスにアクセスできるようにする予定。
  • 地域医療の革新を目的としたパイロットプロジェクトを立ち上げ、地域に密着した医療サービス価格の拡大や、地域医療開発基金の新設を検討。
  • 医療過誤に関しては、専門家が重大または緊急患者を治療する際に安心して集中できる環境を提供するため、医療過誤が発生した場合でも刑事罰から免除される特別ルールを設けるという。

報酬体系に関しては、2028年までに必要不可欠な医療サービスの価格を引き上げるために10兆ウォン以上を投資。これにより、報酬の不均衡を解消するとのこと。

低所得の診療科を補填するということなのかと見えます。診療科によっては、これで割を食うという可能性もあるかもしれません。

 

これらの改革が研修医のボイコットにどのように関連しているかは明確ではありませんが、不安の増幅があったのかもしれません。

 

ときどきウオッチしてメモしてみようと思います。

 

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