医療界が揺れている。2024年4月から、医師の働き方改革が本格的にスタートする。その波は、薬剤師の領域にも及んでいる。今、まさに医療のタスクシフティングが、一気に進展しようとしているのだ。そんな中、薬剤師と医師の業務が重複し、それに対する不満が炎上したという。偶然かもしれないが、このタイミングは絶妙としか言いようがない。
薬剤師と医師の業務がどこで交錯し、どうぶつかり合っているのか。この問題は、日本だけの話ではない。世界各国で、医療システムの違いの中で、同じような課題が顕在化している。特に、米国や欧州などの医療先進国では、薬剤師の権限が日本とは比べ物にならないほど広がっている。予防接種から処方権まで、薬剤師が患者の健康管理にアクティブに関与しているのだ。
では、日本の薬剤師はどうあるべきか。海外の薬剤師が持つ高い専門性と、そのための教育プログラムの充実。それに加えて、薬剤師の権限拡大がもたらす医療費削減や患者アクセスの向上。これらの点を考えると、日本でも薬剤師の役割の再定義が急務であることが明らかだ。
薬剤師は2004年6月の薬剤師法の改正で、2006年度に6年制になってから、その初の国家試験合格者が12年に誕生し、もはや干支が一回りした。権限拡大待ったなしと考えるべきではないか。
今後、医師の働き方改革により、間違いなく医療現場は激変する。まだ一般には見えていない段階と考えるが、実際に始まると、初めて気が付くような話が次々と出てくるように想像する。医療の質を高め、患者中心のケアを実現するためには、薬剤師を含めてタスクシフティングは欠かせない。
海外の事例から学びつつ、日本独自の医療環境に合わせた薬剤師の業務改革が求められている。まさに、医療のタスクシフティングが、新たな局面を迎えているのだ。
日本は追い詰められないと動かないというのでは、残念だ。
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000962947.pdf