【第67回】
受けたくない医療64【精神科】
抗精神病薬は安易に2種類以上を使わない
米国精神医学会
薬を2種類以上、同時に飲むのは一般的に珍しくない。しかし、抗精神病薬については、安易に2種類以上を使うのは控えるよう学会が注意を促している。米国精神医学会は、「抗精神病薬は、2つ以上の種類を安易に併用してはならない」と釘を刺す。
臨床研究によると、2種類以上の抗精神病薬を使う患者は、外来患者の4~35%および入院患者の30~50%と高率に及ぶ。かなりの患者が、いわゆる多剤併用の状態になっている。多数の抗精神病薬の併用で得られる効果や安全性について検証した臨床研究は限られていて、本当に意味があるのかはよく分かっていない。
むしろ薬物相互作用、薬剤使用の中断、医療過誤が増加してしまうので、問題が多い可能性の方が大きい。一般的に、2種類以上の抗精神病薬を併用する前に、単独薬剤による治療を3パターン試してみるとよいという。それだけ試して治療に失敗してはじめて、2種類以上の薬を使う。
(第67回おわり、第68回へつづく)