『続 ムダな医療』を刊行しております。最近5年間に加わりましたチュージング・ワイズリーの項目を掲載し、その上で、米国への取材で得られた情報を加えています。
お手に取ってお読みいただけましたら幸いです。
内容紹介
◆米国の医学会が出した「衝撃のリスト」を一挙に公開!
発売直後にたちまち増刷が続いた前作『絶対に受けたくない無駄な医療』(日経BP社、2014年刊)。前作では、米国広がる、ムダな医療の撲滅運動「Choosing Wisely(チュージング・ワイズリー)」を日本で初めて詳細に網羅し、大きな話題を呼びました。
本書はその続編として、前作を出版したあとで米国の医学会が発表した最先端のムダな医療およそ300項目を紹介しています。
「こんな医療は受ける意味がない」――。米国の老舗医学会などが相次いで発表した「ムダな医療」のリストは、医療界が自らの首を絞めるような衝撃の内容でした。
なぜ、医師たちは自分の首を絞めるような行動に踏み切ったのだろうか。謎をたぐっていくと、世界規模で進む「ムダな医療」撲滅活動の真の姿が明らかになった。
◆新たに追加されたおよそ300項目を「高齢者」「子供」「妊婦」などの観点から整理
米国のChoosing Wiselyは英語で記載されています。本書ではそのすべてを翻訳。内容に合わせて整理し直して紹介している。例えば、次のような項目を立てて読みやすくしました。
【ガン】前立腺ガンの医療行為には不必要なものが多い/平均寿命から5年未満になればマンモグラフィーは不要/PET-CT検査で大腸ガンを調べても精度は上がらない
【高齢者】75歳以上の高血圧では下げすぎにご用心/高齢者をすぐに認知症と決めつけてはいけない/入院中の寝たきりや座りっぱなしは禁物/カテーテルをだらだらと挿入し続けない
【子供・赤ちゃん】子供にCT検査やMRI検査を安易に実施しない/子供に「念のため」の検査は安易に行わない/漫然と子供に尿検査を受けさせない/子供の「治療しすぎ」には注意せよ
【出産・妊婦・不妊医療】記念のための超音波検査はダメ/男性の不妊症対策にテストステロンの処方は不要
【歯科・薬剤師・リハビリ】【腰痛・スポーツ・足や膝】【耳鼻科・皮膚科・アレルギー】【脳神経・睡眠・精神】【心臓・血管】【腎臓・泌尿器】【婦人科・甲状腺・消化器】【手術・中毒・感染症】【血液】【専門的な検査】
◆歯科医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、カイロプラクティックも参加
前作では、権威ある医学会などの医師団体が、必要性を問うべき医療を「5つのリスト」として発表していました。その後、米国ではこのリストが幅広い分野へと広がっていきました。そして今では、医師の団体以外も、チュージング・ワイズリーに参加するようになったのです。本書でも、歯科医師や看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、カイロプラクティックの団体などが発表したムダな医療について、紹介しています。
読者の皆さんにとっても身近な歯の治療や高齢者の看護、リハビリなどに、独自のアプローチから切り込んでいます。
◆世界が動き出す「無駄な医療」問題解決への大波
「チュージング・ワイズリー」という米国発のムダな医療撲滅活動は、なぜ起こったのか。背景に迫っていくと、そこには米国ばかりではない、世界を舞台にしたムダな医療を巡る大きな医療業界のうねりがありました。
著者は、本書執筆のためにチュージング・ワイズリーを推進する米国の本部、米ハーバード大学などの現地取材を敢行。チュージング・ワイズリーを始めたキーパーソンにもインタビューを実施し、「本当に必要な医療」を求める動きの核心に迫りました。そこから見えてくるのは、ムダな医療と決別しようとする世界の医療界の決意でした。
≪本書の構成≫
【第一章】 米国医学会が出した「衝撃のリスト」
【第二章】 最先端の「受けたくない医療」を一挙公開
【第三章】 待ったなし! 無駄な医療を撲滅せよ
著者について
医療経済ジャーナリスト 室井 一辰(むろい・いっしん)
大手出版社を皮切りに、医学専門メディアや経営メディアなどで全国の病院や診療所、営利組織、公的組織などに関する記事を執筆。米国、欧州などの医療、バイオ技術の現場を取材。2014年に『絶対に受けたくない無駄な医療』(日経BP社)、2019年に『世界の医療標準からみた 受けてもムダな検査 してはいけない手術』(洋泉社)を刊行。このほか継続的に執筆や取材協力などを、「週刊ポスト」「女性セブン」「週刊現代」「週刊東洋経済」などで行う。石川県金沢市生まれ。東京大学農学部獣医学課程卒業。