室井一辰 医療経済ジャーナリスト

医療経済ジャーナリスト、室井一辰。『絶対に受けたくない無駄な医療』の連載をはじめ、医療経済にまつわる話題をご提供いたします。

無駄な検診と有益な検診

症状にかかわらず病気を見つけ出そうとするのが検診と考えますが、無駄な検診がある一方で、有益な検診もあります。

簡単な考え方は費用対効果が高く、安全な検査であれば好ましい検診であるといえると思います。

例えば、検便は安価、安全に大腸がんの可能性を確かめられるので、費用対効果が高く、安全性も高いと考えやすい。しかも、実際に大腸がんの発見につながることが分かっています。

 

大腸がん検診:[国立がん研究センター がん情報サービス 医療関係者の方へ] (ganjoho.jp)

 

国立がん研究センターの解説によると、毎年受診すると大腸がん死亡が6割も減ると言います。検査をしたからといって、負担も大きくはありません。

 

逆に、費用がかかり、病気も誤って検出されやすく、負担が大きな検査は避けるべきです。そういう側面から、問題にされる典型的な検診は、卵巣がんの検診です。

米国予防医学対策委員会(USPSTF)では、明確に卵巣がん検診は有害としています。病気が見つからず、無駄な精密検査が行われ、身体的な負担が大きい。下手すると無駄な治療が行われかねません。超音波などが行われるので、安価とはいいがたい。費用対効果が低く、安全性も高いとはいえない。

www.uspreventiveservicestaskforce.org

何でも良いわけではありません。