子宮頸がんの検査──毎年、綿棒で細胞を取る必要はない
異常な細胞を探す「パップ検査」
子宮頸とは、子宮の出入り口にあるくびれたトンネルの部分ですが、ここにヒトパピローマウイルスという性感染症のウイルスが定着すると、がんにつながる場合があります。こうして発生するのが、いわゆる子宮頸がん。ウイルスが正常な細胞をがん細胞に変えてしまう、という病気です。
国立がん研究センターのデータによると、生涯で子宮頸がんにかかる女性は78人に1人、死亡する女性は339人に1人。日本でもヒトパピローマウイルス感染を予防するワクチン接種が話題になることがよくありますから、子宮頸がんはよく耳にするがんかもしれません。女性にとっては、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がんに続く脅威が、子宮体がんと子宮頸がんを合わせた子宮がんといわれています。
子宮頸がんの症状としては、性交時の出血のほか、月経と無関係の出血、悪臭を伴った分泌物など。おなかが痛くなるようなケースだと、がんが進行している場合もよくあるので要注意です。
その子宮頸がんを調べる検査が、綿棒を膣に入れて、子宮頸部の細胞をかき取って顕微鏡で調べる、という検査です。パップ検査と呼ばれることもあります。恥ずかしいために受けたくないと感じる人も多い検査です。
そもそも検査のいらない人も
この検査が必ずしも必要ではない女性がいる、という指摘がなされています。対象となるのは、まず、21歳以下の女性。さらに、がん以外の理由で子宮をすべて取った女性です。そうした女性に対して子宮頸部を調べて、細胞の異常が見られたとしても、自然にそうした細胞は消えてしまう可能性が高いからです。検査を受けることで無用な心配をする羽目になったり、無用な検査を重ねてムダな出費につながったりといった問題が懸念されています。がん以外の理由で子宮を取った女性については、子宮頸部の検査をする意味があると示した研究はありません。上記の条件に当てはまる女性では、そもそも検査が要らないと考えられます。
その上、米国産科婦人科学会では、30歳から65歳の女性であっても、子宮頸部のかき取り検査を毎年のように受ける必要はないという見方を示しています。毎年検査をしても3年ごとに検査をしても結果は変わらない、というのです。毎年問診を受けたり、膣内の内診を受けたりすることには意味があるとしているものの、かき取り検査まですると、必要以上に不安をかき立てたり、追加検査を受けざるを得なくなり、身体的、経済的な負担につながってしまう、というのがその理由です。