日本のがん医療は歴史的に外科医師によって担われており、現在でも外科が主導しているケースも多くなっています。臨床研究も開腹や開胸の手術が関係したものは多いですのでデータも多数あります。日本では外科手術のデータが国内全体で蓄積されて共有する仕組みもあり、一層データが豊富になっています。結果として、外科手術を受けた後の見通しも立ちやすく外科手術が勧められる傾向は強いと考えます。
放射線医療や低侵襲の手術もあります。こうした治療はデータが外科手術と比べると少ないです。そのため治療後の見通しは外科手術よりも見えづらいです。
治療を受ける側から見ると見え方は違うでしょう。外科手術を受けた後の体への負担や残る影響は大きなものです。放射線治療や低侵襲治療の方が少ない場合は多くあると考えています。その人の生き方や生活への影響を考えたときに、大きな制限が加わるときに、本当に外科手術が望ましいのかは、本人のみが知ると考えるべきでしょう。
日本では治療選択の初期において、適切に治療を受ける側に説明がなされていない場合があります。そのときにあらかじめ治療の選択肢が複数あることを知っておくべきですし、治療を受けるに当たって医師に質問をすべきです。医師は説明すべきであり、そこの認識は日本全国で共有される必要があると考えます。