胸焼けの薬──だらだらと飲み続けるのは負担
年を取るにつれて増える胃もたれと胸焼け
胸焼けは、食道を通って胃から口の方に胃酸がのぼってくることで起こる症状です。逆流性食道炎ともよばれます。
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、「胃のもたれ・むねやけ」があると回答した人は、2016年に男性では1000人中19・2人、女性では27 ・4人と女性にやや多い結果。男女ともに年をとるにつれて増えていました。
胃のもたれや胸焼けがあるときには、ドラッグストアなどで胃薬を手に入れるのはとりあえずの対策になるでしょう。揚げ物を食べたり、お酒を飲んだりするのを控えるといった食生活の改善を考える人もいると思います。
あまりにひどいときには、医療機関で検査を受けて、胃酸を抑える薬を処方されるといったこともあります。
薬を減らしていくことの重要性
ですが、この胃酸を抑える薬の使用については少々注意が必要だ、という認識に世界の医療界は傾いています。チュージング・ワイズリーにおいては、胸焼けに対する安易な薬の使用は控えるようにと留保がつけられていました。
米国消化器学会は、逆流性食道炎に対して、プロトンポンプ阻害薬やヒスタミン2阻害薬(H2ブロッカー)という胃酸を抑える薬を使うときには必要量の最小限に抑えるように、としています。長期に使うときには、使用量を徐々に減らしていくよう求めています。胸焼けの症状が重ければ薬を使うのも選択肢の一つですが、その場合でも症状を見ながらちょうどよい量に薬の調節をするのがよい、という慎重さです。
胸焼けの薬を長期にわたって使用すると、下痢や感染症を増やすといった副作用があることも問題視されるようになっています。もちろん薬剤費も馬鹿になりません。ジェネリックであっても1日500円~1000円ほど。3割負担であっても連日となれば負担です。薬の使いすぎを防ぐ視点の一つとして、減らしていく重要性を認識しておくと良いでしょう。