室井一辰 医療経済ジャーナリスト

医療経済ジャーナリスト、室井一辰。『絶対に受けたくない無駄な医療』の連載をはじめ、医療経済にまつわる話題をご提供いたします。

(78回)『絶対に受けたくない無駄な医療』(室井一辰著,日経BP,2014)認知症では無計画にコリンエステラーゼ阻害薬を処方しない 米国老年医学会

絶対に受けたくない無駄な医療

絶対に受けたくない無駄な医療

【第78回】

受けたくない医療75【脳神経】
認知症では無計画にコリンエステラーゼ阻害薬を処方しない
米国老年医学会

ドネペジルやガランタミン、リバスチグミンなど、アルツハイマー病に対する薬が増えている。一般的に使われているのはコリンエステラーゼ阻害薬というタイプの薬だが、米国老年医学会は、「認知症において、認知機能への効果や消化器系への有害作用を継続的に確認することなく、コリンエステラーゼ阻害薬を処方してはならない」と説明している。
 実際に、コリンエステラーゼ阻害薬の服用の有無で認知機能に改善効果が出るかを調べた臨床研究では、症状を抑える効果が確認されている。症状の重さに限らず、認知機能の改善、身体機能の低下や神経精神的な症状を抑えると確認できている。
 ただ、1年を超える長期治療でのリスクや効果は臨床研究でも十分に分かっていない。12週間ほどの期間で治療効果を確かめて、薬剤投与の効果が見られなかった場合には、薬物療法を中止することも考える必要がある。つまり認知症治療で重要なのは、コリンエステラーゼ阻害薬を試す前に計画を立てておくということだ。医師、介助者、患者が一緒になって、認知機能、身体機能、行動といった点で治療目標に対してどう改善しているかを確認しなければならない。当たり前といえば当たり前だが、基本は大切にしたい。

(第78回おわり、第79回へつづく)

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