室井一辰 医療経済ジャーナリスト

医療経済ジャーナリスト、室井一辰。『絶対に受けたくない無駄な医療』の連載をはじめ、医療経済にまつわる話題をご提供いたします。

(74回)『絶対に受けたくない無駄な医療』(室井一辰著,日経BP,2014)切り札として使う場合を除いて、 オピオイドやバルビツール酸系鎮痛薬は使わない 米国神経学会、米国頭痛学会

絶対に受けたくない無駄な医療

絶対に受けたくない無駄な医療

【第74回】

受けたくない医療71【脳神経】
切り札として使う場合を除いて、
オピオイドやバルビツール酸系鎮痛薬は使わない
米国神経学会、米国頭痛学会

 片頭痛は厄介だ。症状が出てくると仕事にならず、吐き気を催すこともある。あらゆる薬に頼りたくなるものだが、米国ではオピオイドやバルビツール酸系鎮痛薬(※ 34 )の使用が問題になっている。米国神経学会は、「片頭痛になった場合、切り札として使う場合を除いて、オピオイドやバルビツール酸系鎮痛薬を使ってはならない」と注意を促している。
 片頭痛にオピオイドやバルビツール酸系鎮痛薬を頻繁に使ってしまうと、むしろ頭痛が悪化してしまう恐れがある。オピオイドは片頭痛特異的な治療を実施している場合や、結果として特異的な治療に失敗した場合まで取っておくべきで、より効果的で片頭痛特異的な治療は他にもあると説明する。
 米国頭痛学会も、「再発性頭痛の初期治療として、オピオイドやバルビツール酸系鎮痛薬を使ってはならない」と言う。オピオイドやバルビツール酸系鎮痛薬は注意力を抑制するうえに依存性があり、麻薬性を持っている。また、反復発作性の頭痛を増やす可能性もあり、片頭痛が慢性化したり、疼痛への感度を高めてしまったりする。ほかの治療が失敗したり、禁忌であったりする場合には許容されるが、慢性的な頭痛に悪化しないかどうか、注意を払わなければならない。

※34 オピオイドは麻薬系の麻酔薬で、一般的にモルヒネが使われている。ガンの鎮痛でよく使われる。バルビツール酸系鎮痛薬は、ペントバルビタールやチオペンタールなどがよく知られ、催眠効果や不安を抑える効果などがある。

(第74回おわり、第75回へつづく)