室井一辰 医療経済ジャーナリスト

医療経済ジャーナリスト、室井一辰。『絶対に受けたくない無駄な医療』の連載をはじめ、医療経済にまつわる話題をご提供いたします。

(64回)『絶対に受けたくない無駄な医療』(室井一辰著,日経BP,2014)在宅酸素療法を漫然と続けない 米国胸部医師学会、米国胸部学会

絶対に受けたくない無駄な医療

絶対に受けたくない無駄な医療

【第64回】

受けたくない医療61【呼吸器科】
在宅酸素療法を漫然と続けない
米国胸部医師学会、米国胸部学会

 肺炎や何らかの事故などで急に入院した際、酸素の吸引に問題があって在宅酸素療法が必要になる場合がある。この在宅酸素療法は酸素マスクで酸素を供給するという方法で幅広く行われているが、退院後に漫然と続けていいかと言えば、そうではない。
 米国胸部医師学会と米国胸部学会は、「急性疾患で入院した患者が退院後に在宅酸素療法を導入することがある。その際は、本当に在宅酸素療法が必要かを評価しなければならない」と求める。というのも、低酸素状態は急性疾患が治癒すれば改善することが多いからだ。漫然と在宅酸素療法を継続してしまえば、無駄な出費や資源の浪費を生む可能性があると学会は指摘。在宅酸素療法を始めたら、退院後90日以内に再評価するよう求めている。
 費用面で言うと、日本では月に2万円ほどかかる治療となる。やはり日本でも早期に中止の判断をしたいところだ。

(第64回おわり、第65回へつづく)