室井一辰 医療経済ジャーナリスト

医療経済ジャーナリスト、室井一辰。『絶対に受けたくない無駄な医療』の連載をはじめ、医療経済にまつわる話題をご提供いたします。

(63回)『絶対に受けたくない無駄な医療』(室井一辰著,日経BP,2014)2歳未満の軽症の下部呼吸器感染症に 全身ステロイドを使わない 米国病院医学会

絶対に受けたくない無駄な医療

絶対に受けたくない無駄な医療

【第63回】

受けたくない医療60【呼吸器科】
2歳未満の軽症の下部呼吸器感染症に
全身ステロイドを使わない
米国病院医学会

 呼吸器感染症に対して、炎症を抑える目的でステロイドを服用させる場合がある。ステロイドは免疫力を下げるので、感染症では避ける傾向もあるが、炎症を抑える効果を優先する場合もあり得る。その場合、ステロイドを経口薬として服用して、治療効果を出すのが全身ステロイドと呼ばれる治療だが、小さい子供では使うべきではないと米国病院医学会は見ている。
 学会は、「2歳未満の子供で、重症ではない下部呼吸器感染症の患者に、全身ステロイド投与をしてはならない」と指摘する。ガイドラインによると、ステロイドを安易に投与するのは気管支炎の治療では推奨されていない。さらに、ウイルス性の下部気管支感染症では効果がないと臨床研究でも判明している。一般的な軽い風邪で、咳が止まらないような時にはステロイド投与はしない方がよいだろう。

(第63回おわり、第64回へつづく)