室井一辰 医療経済ジャーナリスト

医療経済ジャーナリスト、室井一辰。『絶対に受けたくない無駄な医療』の連載をはじめ、医療経済にまつわる話題をご提供いたします。

(50回)『絶対に受けたくない無駄な医療』(室井一辰著,日経BP,2014)受けたくない医療47【産科婦人科】 妊娠満期でも陣痛促進は基本的にしない 米国産科婦人科学会、米国家庭医学会

絶対に受けたくない無駄な医療

絶対に受けたくない無駄な医療

【第50回】

受けたくない医療47【産科婦人科】
妊娠満期でも陣痛促進は基本的にしない
米国産科婦人科学会、米国家庭医学会

 分娩誘発は安易にすべきではない。前項は早期産という「特殊ケース」だったが、分娩誘発が好ましくないのは正規産でも全く変わらない。
 米国産科婦人科学会は、「妊娠週数39 週0日から41週0日までの間であっても、医学的な適応があると判断されず、子宮頸部の状態が出産のために好ましくないならば分娩誘発をしてはならない」と勧告している。「妊娠満期だから早く出しても構わない」とはならないわけだ。
 分娩は、どんな時も自然に始まるのがよいというのが学会の立場。「分娩誘発をして結果的にうまくいかず、帝王切開となるのは子宮頸部に好ましくない」と、リスク・リターンを患者とよく議論するよう医療従事者に求めている。医学的な適応がない場合の分娩誘発では、慎重のうえにも慎重を重ねるべきと説明する。
 米国家庭医学会は、「妊娠週数39週0日から41週0日までの間であっても、医学的な適応があると判断されない場合、子宮頸部の状態が好ましくないならば分娩誘発をしてはならない」と同じ方針を示す。考え方は米国産科婦人科学会と同じだ。「理想的には分娩は、どんな時も自然に開始するのがよい」。以下、全く同じである。

(第50回おわり、第51回へつづく)