室井一辰 医療経済ジャーナリスト

医療経済ジャーナリスト、室井一辰。『絶対に受けたくない無駄な医療』の連載をはじめ、医療経済にまつわる話題をご提供いたします。

(49回)『絶対に受けたくない無駄な医療』(室井一辰著,日経BP,2014)受けたくない医療46【産科婦人科】 妊娠満期前の分娩誘発や帝王切開は禁物 米国家庭医学会、米国産科婦人科学会

絶対に受けたくない無駄な医療

絶対に受けたくない無駄な医療

【第49回】

受けたくない医療46【産科婦人科】
妊娠満期前の分娩誘発や帝王切開は禁物
米国家庭医学会、米国産科婦人科学会
 
 「胎児は、小さいうちに産む方が危険が少ない」という見方は誤った考えと見られるようになっている。米国家庭医学会は、「妊娠週数39週0日より前の段階で、分娩誘発や帝王切開をしてはならない」と指摘する。妊娠満期は39週から41週。これよりも前に人工的に出生を促すのはよくないというわけだ。
 妊娠週数39週0日よりも前の分娩は、生まれてくる子供の学習能力障害につながると分かっている。病気や死亡のリスクを高める結果にも関係する。母体が妊娠高血圧であるなど、母体あるいは胎児の状態によって、39週0日以前に分娩誘発や帝王切開をする必要がある医学的な条件は明確だ。そうした臨床的な基準を無視した形で、胎児の肺の成熟を検査しても分娩を進めていいかの基準にはなり得ない。呼吸ができるからといって、子宮から早期に出すのは控えるよう指摘している。
 米国産科婦人科学会も、「妊娠週数39週0日より前の段階で、分娩誘発や帝王切開をしてはならない」と同様の見方を示す。

(第49回おわり、第50回へつづく)