室井一辰 医療経済ジャーナリスト

医療経済ジャーナリスト、室井一辰。『絶対に受けたくない無駄な医療』の連載をはじめ、医療経済にまつわる話題をご提供いたします。

(44回)『絶対に受けたくない無駄な医療』(室井一辰著,日経BP,2014)受けたくない医療40【整形外科】 抗核抗体の詳細検査は安易にしない 米国リウマチ学会

絶対に受けたくない無駄な医療

絶対に受けたくない無駄な医療

【第44回】

受けたくない医療41【整形外科】
骨粗しょう症でのDEXA法の検査は10年に1回
米国家庭医学会、米国リウマチ学会

 
 骨粗しょう症は、加齢に伴って骨の強度が落ちる疾患だ。骨密度の低下を通して検査することが可能で、その手法としてX線を使って測定する「DEXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)」が広がりつつある。ただ、この検査がどのような人に必要かで議論がある。ちなみに、日本で受けると約4万円の費用がかかる。
 米国家庭医学会は、「骨粗しょう症の検査で、65 歳以下の女性、70歳以下の男性で特筆すべきリスクがないならば、DEXA法を実施するべきではない」と指摘する。DEXA法は高年齢であるほど費用対効果が高く、検査の意味が出てくるが、年齢層が低く、リスクも低い層では費用対効果が低い。その分水嶺と言えるのが女性であれば65歳、男性であれば70歳となる。
 米国リウマチ学会も、「骨粗しょう症の検査で、DEXA法を2年に1回を超えて繰り返し実施するべきではない」と頻度について限度を示す。
 骨粗しょう症の初期の検査としては、米国骨粗鬆症財団のガイドラインに従って行うべきであると指摘。DEXA法の最適な実施間隔は2014年段階で不明確としているが、妥当な頻度として、学会は2年に1回程度よりも高頻度である必要はないと説明する。
 短期間のうちにDEXA法の機器によって骨密度の変化を測定しようとしても、骨密度がそんなに短期間で一気に減ることはさすがにない。長期間をかけて徐々に骨密度は減少していくのが一般的だ。測定ごとに検査値のばらつきもあるので、間隔があまりに短いと、骨密度の減少を捉えたとしても本当に骨密度が減少しているのか分からない。
 学会は、「高リスクの患者であっても薬剤療法を受けていれば、DEXA法で測定した変化は必ずしも骨折の可能性と相関しない」と説明する。十分に間隔を取ってDEXA法で骨密度を測定するのであれば、骨密度の減少は確かに検出可能で、治療法の変更にも結果を生かせる。あるいは骨密度に急な変化があると予測された場合ならば意味はあり得る。
 最近の臨床研究では、「健康な67歳以上の女性では、10年間よりも短い間隔でDEXA法を繰り返す必要はない」と報告されている。検査の間隔を早めたところで、骨粗しょう症のリスクは変化しないということだ。

(第44回おわり、第45回へつづく)

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