【第31回】
受けたくない医療27【小児科】
風邪に抗菌薬は使わない
米国小児科学会
「風邪だから抗菌薬」というのはありふれた光景だろう。しかし、ウイルス感染症に抗菌薬が効かないとは長く言われてきたところ。あらためて米国の学会が「やめましょう」と言うことになった。
米国小児科学会は、「明らかにウイルスによる呼吸器疾患に対しては、抗菌薬を使うべきではない」と指摘する。これは副鼻腔炎、喉頭炎、気管支炎も含んだ話だ。
子供に対する抗菌薬の処方は、医師の間で無駄だという認識が広がり、減っていると見られる。米国でも減少傾向にあるが、それでも学会は依然として高水準で注意すべきだと強調している。「ウイルス性の呼吸器疾患に対して、不必要な薬剤が使われている。薬剤耐性のある細菌の発生や医療費用の増加、有害事象の増加につながっている」。
さらに、学会は咳のための薬も必要ないという。「4歳以下の子供の呼吸器疾患に対して、咳や風邪の薬を処方してはならない」。臨床研究によると、咳や風邪の薬は低年齢の子供に対してほとんどメリットがない。むしろ有害な副作用を起こす可能性があるので警戒すべきだという。子供向けの咳や風邪の薬は複数の成分を含んでいるため、ほかの薬と組み合わせると過剰になる点も問題視している。
日本では子供の医療費が無料化される動きが広がっているが、その半面、投薬に対する抵抗感が極端に低下するとなれば問題だ。投薬自体を否定するつもりはないが、意味がないものを広げるのはやはり避けたい。
(第31回おわり、第32回へつづく)