【第62回】
受けたくない医療59【呼吸器科】
酸素補充を受けていないのに、急性呼吸器疾患の子供に
パルスオキシメトリーを実施しない
米国病院医学会
急性呼吸器疾患は、ウイルスや細菌などが原因で呼吸器に障害が起こる病気。一方のパルスオキシメトリーは、血液を針で取らずプローブ(探触子)を指に着けるだけで血液中の酸素を測れる装置である。酸素補充を受けるほどの条件でなければ、パルスオキシメトリーで何度も血液中の酸素の状態を調べる必要はない。米国病院医学会は、「急性呼吸器疾患の子供に対して、酸素補充の治療を受けていない条件下で、安易に頻回のパルスオキシメトリーを実施すべきではない」と注意喚起している。
継続的なパルスオキシメトリーを急性呼吸器疾患の子供に実施する意義が明確になっていない、というのがその理由だ。従来、継続的なパルスオキシメトリーの実施によって、入院率の増加や入院期間の延長につながっていた。血液中の酸素が低いから念のために入院させておこうといった判断があったためだろうか。にもかかわらず、パルスオキシメトリーの利益が十分に検証されてこなかった。よかれと思ってやっている医療行為が、実質的な効果を示していないケースの一つだろう。
日本の場合、一連のパルスオキシメトリーの費用は1000円ほどだが、知っておいて損はない。
(第62回おわり、第63回へつづく)