【第61回】
受けたくない医療58【呼吸器科】
気管支炎の子供に気管支拡張薬を使わない
米国病院医学会
気管支炎は、肺に空気を取り込む気管の枝で炎症が起こる病気だ。気管支に炎症が起こると、気管が腫れてしまって空気の通りが悪くなる。そこで気管支を広げて、空気の通りをよくする治療を行うことがあるが、この治療に意味がないという見方が浮上している。米国病院医学会は、「気管支炎の子供に安易に気管支拡張薬を使ってはならない」と言う。
米国小児科学会のガイドラインによると、気管支炎の患者に対する安易な気管支拡張薬の使用は勧められていない。これまでの総説によると、気管支拡張薬を気管支炎で入院した子供に使っても意味ある効果はないと論じられている。学会は、「気管支拡張薬の効果はごく限られている。むしろ医療従事者は気管支拡張薬の有害性こそ重視すべきだ」と注意を促している。
一見、意味がありそうな治療が、臨床研究で検証してみると、思ったよりも効果がないと分かる場合は珍しくない。この治療についても同様なケースと見られるだろう。
(第61回おわり、第62回へつづく)