【第103回】
受けたくない医療100【循環器】
中心静脈カテーテルは不要になったら即中止
米国老年医学会
胃ろうに近い問題として、中心静脈カテーテルという方法で栄養を補給したり、継続的に薬剤投与したりする医療行為がある。文字通り心臓に流れ込む、中心的な静脈に管を通して、栄養液や薬を投与するものだ。
米国老年医学会は、「中心静脈カテーテルは、患者や医療機関の利便性のために使ってはならない」と自制を促す。
中心静脈カテーテルは、現在の医療現場では一般的に使われている装置であるのも確かだ。大きな問題は費用面の負担と、患者の死亡要因ともなる医療関連合併症という二つの問題の原因になる点だ。中心静脈カテーテルによる医療関連合併症とは、血流感染症(CLABSI)と静脈血栓塞栓症(VTE)である。
結局、中心静脈カテーテルはごく限られた患者に実施すべきだと学会は強調する。静脈内の抗菌薬投与、非経口の栄養供給、化学療法、頻繁な血液採取を長期にわたって実施する必要がある場合だ。中心静脈カテーテルは、必要とされる条件が解消されたならば直ちに中止すべきである。
(第103回おわり、第104回へつづく)