【第102回】
受けたくない医療99【循環器】
薬で治療できる心房細動に
心筋カテーテルアブレーションは不要
米国不整脈学会
「心筋カテーテルアブレーション」は、不整脈の治療に広がっている新しい治療法だ。心拍のリズムが崩れる不整脈の中で、「心房細動」と呼ばれる疾患が問題になっている。心臓の上半分の「心房」で異常な電気が発生し、心拍のリズムを狂わせる病気だ。心房細動になると、血液が固まりやすくなり、血栓が生じる。脳に血栓が至ると脳梗塞を起こす可能性があり、問題となる。
心房細動は薬で治療できるが、薬ではなくカテーテルと呼ばれる管を心房まで通して、異常な電流を発生させる部位を電極で加熱し、症状を取り除くのが、心筋カテーテルアブレーションと呼ばれる治療だ。
一方で、米国不整脈学会は「心房細動の患者においては、薬剤で問題なく症状や心拍がコントロールされている限りは、房室結節の心筋カテーテルアブレーションを実施すべきではない」とする。
心筋カテーテルアブレーションやペースメーカーによる治療は心拍や関係した症状が薬剤療法でコントロールできなかったり、徐脈による心筋障害が懸念されたりする場合には意味があると説明。最近の学会のガイドラインを引き合いに出して、無症状の患者、心拍が薬剤療法でコントロールされている患者では利益よりもリスクの方が大きいと見る。
心筋カテーテルアブレーションの効果については不明点も多い。日本で受けると150万円ほどがかかる高額治療である。今後、本当に意味があるかの検証も必要となるだろう。
(第102回おわり、第103回へつづく)