【第100回】
受けたくない医療97【循環器】
ペースメーカーは無症状の上室性徐脈には使わない
米国不整脈学会
不整脈の一つとして、上室性徐脈はよくある疾患だ。心臓は上半分が「心房」、下半分が「心室」に分かれており、上室性徐脈は心房を原因として、心拍がゆっくりになるもの。症状がある場合に、ペースメーカーを移植して、電気的に心拍を整える治療をすることができる。
米国不整脈学会は、ペースメーカーの移植については、「症状がなく、上室性の原因だけで徐脈になっているならば、ペースメーカーは移植すべきではない」との方針を示す。
ペースメーカーの移植は、症状を伴う房室結節障害に適応となる。無症状の房室の徐脈で、ほかの原因でペーシングを要しているわけではなく、心臓再同期療法の必要性もない場合でペースメーカーが有効かは臨床研究からも明確ではない。ペースメーカーの移植は低リスクの手術ではあるものの、ある程度のリスクや患者の出費は伴う。日本では手術に200万~300万円がかかる。
さらに、右室への不適切で継続的なペーシングは心臓機能に有害に作用する可能性もある。米国の学会の指針によると、こうした患者へのペースメーカーの移植は効果よりもリスクが多いという判断をしており、非推奨としている。
(第100回おわり、第101回へつづく)