室井一辰 医療経済ジャーナリスト

医療経済ジャーナリスト、室井一辰。『絶対に受けたくない無駄な医療』の連載をはじめ、医療経済にまつわる話題をご提供いたします。

新型コロナウイルス感染症によるパンデミックに伴う失業補償制度の終了後、抑うつや不安のリスクが高まる

新型コロナウイルス感染症によるパンデミックに伴う失業補償制度の終了後にどのような影響があるのか、その課題についての研究が報告されています。特に精神的な健康への悪影響に焦点が当てられています。 失業保険の給付者に対して追加で600ドルを給付した…

ワクチンの有害事象が神経に及ぶことも

週刊ポストさんの取材を受けました。コロナと神経症状との関係についてはかねて指摘されていましたが、ワクチンも有害事象が神経に及ぶことはあるようです。 メキシコの研究グループが、高齢男性で神経症状の一つ、せん妄が現れると報告しています。もともと…

BRCA1またはBRCA2変異乳がん患者に対して、手術補助療法(アジュバント療法)としてオラパリブを用いた研究、オラパリブが生存率で有利な結果に

BRCA1またはBRCA2変異乳がん患者に対して、手術補助療法(アジュバント療法)としてオラパリブを用いた研究が報告されています。 結論は、プラセボを上回るというもの。3年無浸潤生存率がオラパリブ群85.9%で、プラセボ群77.1%ということで、有意差が付い…

コロナ感染者に人種、民族差があるとする研究報告、ラテン系の死亡者がほぼ2人に1人に、米国カリフォルニア州の情報分析から

コロナ感染者に人種、民族差があるとする研究報告がありました。 米国カリフォルニア州の1540万件に上る検査データや感染が判明した症例などの情報を分析したところ、70.0%がラテン系となっており、白人は19.1%にとどまったと言います。人口比は白人が37.5…

進行期乳がん患者の死亡率を低下させる標的治療薬の支出は、死亡率の低下につながる

進行期乳がん患者の死亡率を低下させる標的治療薬の支出についての研究が報告されています。 がんの治療薬は高額であることが問題になっていますが、この研究によると、診断された年の標的療法への支出は、進行期がん患者では2000年の患者あたり1024ドルから…

チュージング・ワイズリーとバリューベースドヘルスケア

以前に取材していただいたチュージング・ワイズリーについての記事をこちらにも貼っておきます。 バリューベースドヘルスケアという考え方は、医療で得られる価値に見合った、費用負担にしていこうというもので、チュージング・ワイズリーもそうした考えに沿…

ストレスと心臓疾患

ストレスと心臓疾患との関係についてのコメントを求められました。 たこつぼ心筋症はなかなか聞かないのと、名称が独特なので、とくに記事で注目されました。 これは日本で報告された病気なんですよね。意外と知られていません。 本当にストレスが原因になっ…

ワクチンの構造

週刊ポストさんの取材を受けています。 ワクチンの構造について、多くの人が気にしなければならないという状況はなかなか異常だとは思いました。 エピトープという、ウイルスの持っている突起部分のアミノ酸の配列情報から、エピトープという、抗原反応を呼…

前立腺がんは難しい疾患

取材のコメントお出ししました。 実際に前立腺がんは難しい疾患だと思っています。チュージング・ワイズリーでも、継続的に、その治療の意義が問われてきました。 米国予防医学専門委員会(USPSTF)では、前立腺がんの検診項目として普及しているPSA検査につ…

あとがき(60回)『世界の医療標準からみた受けてもムダな検査 してはいけない手術』(室井一辰著,洋泉社,2019)

世界の医療標準からみた受けてもムダな検査してはいけない手術 あとがき チュージング・ワイズリーを調べるようになって5年ほどになりました。はじめは私が偶然に目にした米国の変わった運動というくらいの印象だったのですが、そこで問題提起されている項目…

第6章 医療を疑うことの意義(59回)『世界の医療標準からみた受けてもムダな検査 してはいけない手術』(室井一辰著,洋泉社,2019)

世界の医療標準からみた受けてもムダな検査してはいけない手術 第6章 医療を疑うことの意義 医療を疑ってもいい ここまで、チュージング・ワイズリーの具体的な項目を見てきました。検査、薬、手術という医療行為の中に、専門的な医学会も必要性を疑問視し…

心房細動の手術──意義が問われるアブレーション手術(58回)『世界の医療標準からみた受けてもムダな検査 してはいけない手術』(室井一辰著,洋泉社,2019)

世界の医療標準からみた受けてもムダな検査してはいけない手術 心房細動の手術──意義が問われるアブレーション手術不整脈治療の現 心臓の鼓動はなぜ一定なのでしょうか。その秘密は、心臓の内部で絶え間なく発生している電気信号にあります。リズミカルに発…

胃ろうの手術──認知症では意味なし(57回)『世界の医療標準からみた受けてもムダな検査 してはいけない手術』(室井一辰著,洋泉社,2019)

世界の医療標準からみた受けてもムダな検査してはいけない手術 胃ろうの手術──認知症では意味なし病棟の4割が経管栄養 高齢になり、食事を自分で食べられなくなったときの選択肢としては、中心静脈栄養のほかにも、経管栄養と呼ばれる方法があります。大まか…

中心静脈栄養──中止のタイミングとは(56回)『世界の医療標準からみた受けてもムダな検査 してはいけない手術』(室井一辰著,洋泉社,2019)

世界の医療標準からみた受けてもムダな検査してはいけない手術 中心静脈栄養──中止のタイミングとは食べることが困難になったら 自分の力で食べること、排泄することは、人間の尊厳を保つうえで大切なことだとされています。逆に言えば、それらを他人に頼ら…

乳がんの手術──手術の前に知っておきたいポイント(55回)『世界の医療標準からみた受けてもムダな検査 してはいけない手術』(室井一辰著,洋泉社,2019)

世界の医療標準からみた受けてもムダな検査してはいけない手術 乳がんの手術──手術の前に知っておきたいポイント乳がんをいかに治すか 乳がんは多くあるがんの中でも最近、日本で特に注目されることの多いがんになっているかもしれません。 乳がんの治療を受…