室井一辰 医療経済ジャーナリスト

医療経済ジャーナリスト、室井一辰。『絶対に受けたくない無駄な医療』の連載をはじめ、医療経済にまつわる話題をご提供いたします。

誘発需要の問題

誘発需要について書かれています。

収益のため、リスク回避のために余計な医療を行う場合があります。それらは避けるべきです。

 日本の医療機関では、外来については、医療費は行った分だけ請求できる「出来高制」になっています。ですから、医療従事者にとっては検査をしたらしただけ収入になります。治療もした分だけ収入につながることになります。そのために、メリットがほとんどないことは知っているけれども、余計な医療行為を行ってしまうのです。このような、医師が利益を追い求めるあまりに医療行為が過剰に行われることを「誘発需要」と呼んでいます。ニーズが人工的に誘発されるからです。日本を含め、世界中で問題になっている事例としては、膝の半月板の手術でしょう。スポーツ選手が膝の内部にある半月板と呼ばれる軟骨を痛めるケースがありますが、これを治すために手術をする必要はあまりない、と最近では考えられ始めています。ところが、この手術は良い収入になるのです。そのために過剰な手術が行われている、という実態があるのですが、こちらも追って第5章で紹介しましょう。

(4回)『世界の医療標準からみた受けてもムダな検査 してはいけない手術』(室井一辰著,洋泉社,2019) 医師はなぜムダな医療を行うのか - 室井一辰 医療経済ジャーナリスト

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