室井一辰 医療経済ジャーナリスト

医療経済ジャーナリスト、室井一辰。『絶対に受けたくない無駄な医療』の連載をはじめ、医療経済にまつわる話題をご提供いたします。

(9回)『世界の医療標準からみた受けてもムダな検査 してはいけない手術』(室井一辰著,洋泉社,2019) 広がる最新医療知識のマニュアル化

世界の医療標準からみた受けてもムダな検査 してはいけない手術

世界の医療標準からみた受けてもムダな検査 してはいけない手術
広がる最新医療知識のマニュアル化

 そうして生まれてきたのがガイドライン、言ってみればマニュアルです。エビデンスを整理し、実際の医療の方針として整理したものです。さまざまな分野でガイドラインが出ており、日本でも発行されるようになってきました。ですから、こうしたガイドラインを参考にすることで、間接的にエビデンスを知るという方法もあります。

 そうした中で2010年代に始まったのが「チュージング・ワイズリー」と呼ばれる動きです。これはより直接的にムダな医療を撲滅するような動きとなっており、ポイントは、米国の医学界が自ら主導して始まったということです。ムダな医療撲滅運動というと、医療従事者ではない人たちが、医療界に対して批判的に述べるもの、というイメージもあるかもしれません。日本で言えば、「原発反対」「沖縄基地反対」といったデモのような動きに対するイメージに近いでしょうか。チュージング・ワイズリーはそうではなく、医療界の方から湧き上がってきた動きなのです。

 この運動には米国の名だたる医学会の中から、がん、循環器、産科婦人科、泌尿器科、小児科、皮膚科などの各分野を代表するような医師団体、さらには、看護、歯科、リハビリのような医師の団体以外の組織も参加してきており、その数はさらに増えていまや80程になろうとしています。これまでに約550にも及ぶ、必要性を問うべき医療がリストアップされてきました。このリストを手がかりに、ムダな医療についてより深く理解していくことができると考えています。

 では続いて、チュージング・ワイズリーについて見ていきます。

(第9回終わり。第10回に続く)

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