室井一辰 医療経済ジャーナリスト

医療経済ジャーナリスト、室井一辰。『絶対に受けたくない無駄な医療』の連載をはじめ、医療経済にまつわる話題をご提供いたします。

(85回)『絶対に受けたくない無駄な医療』(室井一辰著,日経BP,2014)眼底や眼圧など毎年の眼科検診は子供に不要 米国小児眼科斜視学会

絶対に受けたくない無駄な医療

絶対に受けたくない無駄な医療

【第85回】

受けたくない医療82【眼科】
眼底や眼圧など毎年の眼科検診は子供に不要
米国小児眼科斜視学会

 子供の場合、念入りな眼科検診は過剰と見なされる。特別な顕微鏡を使った目の検査や眼底・眼圧の検査を含めた検診は「包括的眼科検診」と呼ばれる。米国小児眼科斜視学会は、「毎年の包括的眼科検診は、一般的な検診をしていれば不要」という見方を示している。
 子供の眼科検診は小児検診の一部に組み込まれており、特定の目の異常を持つ子供はここでほとんど拾い上げることができると考えるためだ。
 単純な視力検査程度ならばいいが、さらに詳しい画像検査のような対応は必要なく、5000円の費用をかけてまでやる意味はない。家計の出費を増やすうえに、子供が学校を欠席したり、親の欠勤を強いたり、問題の方が大きい。無症状な子供の異常を拾い上げるのは、トラブルがあった時の検査で十分。包括的眼科検診をしたからといって、異常の発見が増えるという根拠はない。包括的眼科検診をするとすれば、一般的な眼科検診で異常を指摘された子供に限るべきだ。

(第85回おわり、第86回へつづく)