室井一辰 医療経済ジャーナリスト

医療経済ジャーナリスト、室井一辰。『絶対に受けたくない無駄な医療』の連載をはじめ、医療経済にまつわる話題をご提供いたします。

(83回)『絶対に受けたくない無駄な医療』(室井一辰著,日経BP,2014)手術の切り傷に抗菌薬を塗らない 米国皮膚科学会

絶対に受けたくない無駄な医療

絶対に受けたくない無駄な医療

【第83回】

受けたくない医療80【皮膚科】
手術の切り傷に抗菌薬を塗らない
米国皮膚科学会

 手術後には、どうしても皮膚に傷ができる。細菌が増えそうな不安を感じるが、抗菌薬を塗る必要はないようだ。米国皮膚科学会は、「手術の際に切り傷を作っても、安易に抗菌薬を塗ってはならない」と指摘する。
清潔な手術後の切り傷には、抗菌薬を塗布しても無意味だ。むしろ抗菌薬を塗ると、切
り傷の部分を刺激して自然な傷の治癒を遅らせる可能性がある。臨床研究によると、局所
に抗菌薬を使ったところ、接触性皮膚炎を促したり、皮膚を発赤させたり、刺激したり、
炎症を起こしたりすることが分かった。それとは別に耐性菌を増やす恐れもある。「本当
に感染が確認できた場合のみ抗菌薬を使うことが重要」と学会は指摘する。

(第83回おわり、第84回へつづく)

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