【第37回】
受けたくない医療34【糖尿病】
2型糖尿病では、毎日の複数回の自己血糖測定は避ける
米国内分泌学会、米国臨床内分泌医学会、米国老年医学会
自己血糖測定は、手軽に自分の血糖値を把握できるので、症状の管理と治療の実行に意味があるようにも見える。「受けたくない医療32」で紹介したように、自分で指に針を刺し、血を1滴出してそこから血糖値を測る方法だ。しかし、必ずしもすべての患者に勧められるわけでもないようだ。
米国内分泌学会と米国臨床内分泌医学会は、「低血糖を起こさない薬剤を使っている2型糖尿病の患者に対して、毎日の複数回の自己血糖測定は避けるべきである」と強調する。いったん管理目標を達成し、自己血糖測定の結果が予測可能となれば、自己血糖測定を繰り返したところで得られるものはほとんどなくなるからだ。
例外として、急性の疾患がある時、薬剤を追加した時、体重変動が顕著にある時、血糖値がヘモグロビンA1c(HbA1c)の目標値を外れた時は行ってよい。自己血糖測定は検査をすることで治療上有用な情報を得られたり、治療の調整につながったりした場合に限って意味を持つ。
同じように、米国老年医学会も「インスリンを使っていない2型糖尿病の患者では、自宅での自己血糖測定を推奨しない」と指摘している。
自己血糖測定は2型糖尿病でインスリンを使っていない、あるいは低血糖を引き起こす薬剤を使っていない患者にはメリットがない。コスト面でも患者にマイナスだし、診断や治療の側面でもマイナスが出る可能性がある。先の2学会と同様に、薬剤の用量を変更したり、食事内容や運動療法を変更したりする場合に限って実施すべきであると勧めている。
結果が予想できる検査は必要ない―。考えてみれば当たり前かもしれない。
なお、日本で自己血糖測定をすると、測定する回数にもよるが1カ月当たり5000~1万円程度かかる。意味があるかどうか、一度見極めてみてもいいだろう。
(第37回おわり、第38回へつづく)