室井一辰 医療経済ジャーナリスト

医療経済ジャーナリスト、室井一辰。『絶対に受けたくない無駄な医療』の連載をはじめ、医療経済にまつわる話題をご提供いたします。

チュージング・ワイズリーについて

 

読者の方からご質問を受けましたので、ここでご質問についてのチュージング・ワイズリーや取材に基づく現在の状況について簡単ではありますが、お書きしたいと思います。

 

私はメディアからの取材を受けて、無駄な医療について情報発信をしております。

その根拠は基本的に、チュージング・ワイズリーの記載に依拠しています。

 

 

ご質問がありましたのは、手術時の剃毛が本当に不要なのかという点です。ここは非常に関心の高いところであるようです。この内容について、チュージング・ワイズリーで示しております。米国看護学会が手術時に剃毛をしないよう求めております。頭部も含めて、行う場合はバリカンをするよう求めています。

 

www.choosingwisely.org

 

また手術後の抗菌薬を行う必要がないという点について、米国ヘルスケア疫学会が、手術後の予防的な抗菌薬を使わないように求めています。

www.choosingwisely.org

 

 

もっともチュージング・ワイズリーは、医師と患者との間の対話を促進させようとする活動です。ここにあるリストは強制するものではありません。こうした指摘をきっかけに、みなさんが議論を始めることがよいと考えております。これからの医療は、コミュニティーの中で、議論を進めるような形にますます進んでくると考えています。

 

もう一つ、医療機関の経営において、入院の長期化が有利に働く点も関心はあるところです。現在、入院を短縮するために、多くの政治的な施策が打たれていますので、今後は、長期化させても意味はなくなるものと考えます。

 

一方で、取材によると、現在、医療機関に対する金融機関の融資は、入院医療を行っているかどうかで左右されている状況があるの事実です。入院医療を行っていないところについては、融資が厳しくなっております。結果として、医療機関の倒産とも関係してきております。そこは先日、東洋経済で取材をしまして、関連記事を書いております。

 

 

 

入院を長期化させるかどうかというところは難しいところです。ですが、現実的に、ここは医療機関にとっては大きな収入源であるのは間違いないのではないでしょうか。入院医療をめぐる状況については、武久洋三医師の著書をおすすめいたします。詳細にその日本の入院をめぐる、動きがまとめられております。

 

どうぞよろしくお願いいたします。