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茨城県での救急車有料化、選定療養費と救急搬送

茨城県では、救急車の利用に選定療養費を導入することが決定されました。この取り組みは、都道府県単位では初めての試みということで早速話題になっています。

要は救急車の有料化です。

これは今後全国に広がる可能性が高いと見られます。以前に三重県の松阪市、愛知県の豊橋市で導入されたことが報じられていました。これが大きく発展した形です。

 

茨城県の資料では、救急搬送における選定療養費の取り扱いについて詳しく説明しています。選定療養費とは、医療機関が提供する自費部分の医療費のことです。従来、特定療養費として知られていたものが、自費診療の新しい形として導入されました。

 

特定療養費にしても、選定療養費にしてもわかりづらいですが、療養費というのは要は自腹で払うという役所の用語です。

 

医療機関はその機能や規模により地域で担う役割が異なるものの、大病院への外来患者の集中が問題となっています。軽い病気でも、せっかくなら大病院で診てもらおうという人が多いからですが、クリニックなどをゲートウェイにして、そこから紹介するというルートを作りたいというのが国としての方針です。

 

救急車はある意味で抜け穴的に、直接大病院に行けるところがあり、残された課題といっていいのかもしれません。必要であればもちろんいいですが、救急車をタクシーよりも気軽に利用できる移動手段として見なしている人もいるように聞きます。

 

医師の働き方改革が2024年から本格化するという計画の下で、16年度から紹介状を持たずに大病院を受診する場合には一定の負担を患者に求めることが義務化されました。もともと大学病院などでは追加負担が必要でしたが、対象が拡大されることになったのです。

 

同県によると、茨城県の救急医療機関においては、選定療養費の運用が十分に機能しておらず、救急搬送者の6割以上が一般病床数200以上の大病院に集中しています。そのうち約半数が軽症患者で、緊急性の低いケースも多く含まれています。

 

4月にはいよいよ医師の働き方改革が開始され、医師の残業が大幅に制限され、診療体制の縮小が行われている医療機関も出ており、救急医療現場はさらに逼迫する状況になっていました。

 

このような背景から茨城県では、これまで料金が徴収されていなかった救急搬送者のうち、緊急性が認められない場合に選定療養費を徴収することを決定したのです。

 

この新しい運用は2024年12月1日から開始され、対象となる病院は一般病床数200以上の紹介受診重点医療機関など23病院です。徴収金額は初診時に紹介状なしで受診された際に徴収される料金と同額で、7,700円以上となります。

 

同県では、今回の救急車有料化を受けて、あらためて「不要不急の救急要請」は控えてほしいと求めています。今年は猛暑になっており熱中症などによる救急搬送が増えていると見られます。具体的には、軽い切り傷や風邪の症状、発熱といったケースでは不要不急と指摘しています。一方で緊急性のある症状の場合にはためらわずに救急要請をすることも推奨しています。

 

茨城県が県単位で救急車の有料化に踏み切ったことで今後、全国的に救急車の有料化は当たり前のものになってくると想定されます。

 

https://www.pref.ibaraki.jp/somu/hodo/hodo/pressrelease/hodohappyoushiryou/2203/documents/240726iryouseisakuka.pdf

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